エロ注意!
その花に、名前があるかは定かではない。
濃い赤色の花弁に白っぽい煤けた緑色の茎。たいして美しいとも言えない平凡な見た目だ。
形は百合のようで、匂いが強く、ごく稀に人里離れた森の中などで群生しているのが見かけられる。
昼間は降り注ぐ陽光に照らされて生き生きと葉を伸ばす花。
しかし、育つ場所が森林や山中といった、夜中には人も寄り付かない場所であるため、月明かりの元ではどんな姿でいるのか確認されてはいない。
大陸を旅するものなら一度は見た事がある。
しかし、よくは知らないし、興味もわかない。
それはそんな花だった。
ガン、ガンッ!
重たく鈍い音。
静まり返った森の中に響くのは、魔法によって形成された鋭い氷の鏃が近くの木に突き刺さった音だ。
それを聞いているのは、その鏃の標的とされながら体を反転させて避け、今、足を軽く踏み鳴らす少年、一貴。
鏃の飛んできた進路からその魔法を飛ばした張本人を追って目線を上げれば、中空にふわりと漂う青い髪の青年、シギの姿があった。
森を抜けて学園へと帰る道すがら。
二人は偶然に出会ってしまったわけだが、どうやらシギの機嫌を損なってしまったらしい。
容赦なく次々と氷柱が浮かび上がり、一貴の方を向いて臨戦態勢でいる。
夜ともなれば凶暴性の増す一貴もまた、そんなことをされて黙っていられるはずがなかった。
短く息を吐き、ためを作ると瞬時に駆け、跳躍する。
空を飛ぶ彼に届くものではないが、彼が浮かべた氷柱の一つには手が届く。
それを渾身の力で叩き割ろうと、拳を埋めると、思ったとおりにひびが入り、砕け、飛び散る氷の欠片。
破片の一つが彼の頬を掠れば、驚いてひるんだか、高度が下がった。
「うわ、なにすんだよ!」
「!な、離せ!」
蹴りでもお見舞いしてやろうと足を振るおうとするが、一瞬早く伸ばされた彼の手に掴まれ、空中でバランスを崩した。
勿論怯み、力を抜いていたシギも同じ。
二人は草むらの斜面を転がるように、森の奥、人の手の付かない狭間へと落ちていった。
目を開けると満開の赤い花たちに囲まれていた。
月明かりに照らされて伸び伸びと葉を伸ばす花々。
ロマンチック、などといってられる場合でもなかったが、興味深く周りを見回した。
己も、シギも目立った外傷は無いようである。
どこも痛いところはないし、気分も少し落ち着いた。
・・・のだが、なにやら気になる。
一体なんだというのだろう。
花から漂う甘い香り。それが嫌に鼻につく。
それだけではない。
鼻につく香りはまるで、意思を持って体内に入り込むように鼻、口、喉と粘膜に張り付くような感覚を与えていく。
程なく全身が香りに包まれたような錯覚に陥ると、自然息が上がっている事に気づいた。
初めはその香りを体外へ押し出そうと意図的にしていた呼吸だが、いつの間にか荒げたそのまま、戻らない。
いや、戻せないのだ。
運動をした後のように息が上がり、体が熱い。
どくどくと心臓が早く脈打って、全身に血が巡る。
「ねぇ、かずたか。ぼく、体があついよ・・・」
そう震える声でシギが言った。
それは己も同じだ、声に出そうとして情けなくも吐息だけで音が出てこない。
喉が掠れて、思考が鈍る。なぜ、どうしてと考えるが答えの出ぬまま、体だけが勝手に熱を持っていた。
「シ、ギ・・・」
「ひっ、やぁ・・・ん!」
とにかくこのままでは危険だ、と彼を引き起こそうと手を伸ばした。
しかし、その肩に触れただけだというのに高い声を上げられ、驚いて身を竦める。
高く、甘く、濡れた声。
そしてそれを聞いた瞬間に余計に上がった己の熱。
ああ、分かってしまった。
この花の香り、興奮剤のような催淫剤のような成分を孕んでいるのだ。
そうだとすれば勝手に高まる体の熱も、鈍る思考も、説明がつく。
一度そういうものだと分かってしまうと、体は素直に情欲を欲し、疼くような痺れを起こす。
熱は己の体も過敏にさせ、夜風が頬を過ぎ去るのでさえ、ぞくぞくと背筋を震わせた。
「か、ずたか・・・どうしよう、ぼく立てないよ」
「それ・・・はオレも、だよ・・・」
体を上り詰めさせる熱の正体が掴めずに不安なのか、シギが今にも泣きそうに瞳を歪めた。
しかし、己も力が抜けてしまってどうしようもない。
先ほど立たせようとして向かい合ったその状態から二人は見つめあい、互いの状況を知ると。
途方もない罪悪感とともに、口付けを交わしてしまった。
早急に、性急に、ただ快楽を欲して疼く身体。
興奮に震える手でシギのズボンと下着を脱がすと、触ってもいないのに硬度を増し、形を変えた物が姿を現す。
冷たい空気に曝されただけで、それはひくひくと反応し、透明な雫を零す。
そっと握りこむと、濡れた声を響かせて、全身を硬直させた。
ゆるゆると上下に手を動かす。
すぐさま粘着質な水音がしてきて、聴覚からも欲が高まるようだ。
一貴はその熱の塊が跳ねるのを潤んだ瞳で捉えると、程なく口内へと迎え入れた。
「あ、あ!っひ・・・ぅぅ、かずたか・・・ぁ」
どんどんと熱が上がり、硬くなるその塊。
舌を絡め、先端を探るように舐めるとほんのりした苦味が口いっぱいに広がった。
こんな行為はまったく持って初体験だったが、ただ今は突き動かされる欲望のまま、それが愛しくて、妙に興奮してせわしなく口を動かしていた。
唇をすぼめ、上下に扱くような動作に変えると、彼の腰が一際大きく震え始める。
ひっきりなしに啼く、甘い喘ぎ声が、これが気持ちいい行為なんだと教えてくれた。
塊の根元を指で擦り上げ、浮き立つ血管をなぞる。
どんどんと溢れてくる苦い雫を飲み込むように喉の奥へと流して、時折熱い吐息を吐くために口を開けば、厭らしい水音が同時に響く。
先端から滲む雫の質が変わったか、苦味から僅かに生臭いような香りが混じり、舌にねっとりと絡みつく。
握りこんだ根元はこれ異常ないほどに膨れ上がり、硬度を増して。
もう限界が近い事を知らせた。
「だ、め・・・もうはなして、よ!」
大きく開いた瞳から涙を零しながら、シギが一貴の髪をくしゃりと持つ。
このまま人の口内に精を吐き出すのはどうにも抵抗があって。
しかし、それが聞こえないかのように続けられる行為。
先端を咥え、中のものを引き寄せるように吸い上げ、唾液に滑る根元を幾度も擦り。
「やぁ、だめ、だめだってば・・・!も、でちゃう・・・ぅ!」
嫌だ、嫌だと首を振り、無理やりにでも離させようと手に力を籠めた。
掴んだ髪を引き上げ、力づくで顔を離す。
だが、その無理やりな動きと、突然の痛みで口を離す寸前、先端の括れに歯を立ててしまった。
常ならば痛いだけであろうその行為も、熱に浮かされたこの状態ではどうしようもないほどの快楽となって走り。
「ひっ、あ、あ、あ、あ、あ!」
もう押し留める事など出来ずに、絶頂の淵へと到達してしまった。
硬く勃ち上がったその先端からは勢いよく白濁が溢れ、抑え切れなかった声も高く漏れ出し。
快楽が大きすぎたのか、一度で終わらなかった吐精がとくり、とくり、と幾度かにわけて吐き出される。
そしてその粘ついた精はシギ自身の服を汚し、また、寸前で無理に離された一貴の顔にも降り注いだ。
「なに・・・すんだよ」
「う、あ、ごめん、ね・・・はなしてくれない、から」
盛大に己の顔を汚した白濁をなんともいえない面持ちで手の甲で拭う。
酷く気持ち悪くて嫌だ、と思っているはずなのに相反するように身体は疼いてしまってなぜか泣きたくなった。
顔を上げると粘着質なその雫が、たらりと頬を伝う。
花の甘い匂いと相まって異様な雰囲気に包み込まれた。
「おわび、に、ぼくもしてあげるよ」
「え、やめ・・・あ、あ・・・ぅ」
急に反転する視界。
後頭部に感じるがさがさした草の感触と、見上げる月とシギの顔。
今まで己もそうしていたというのに逆転されると妙に恥ずかしい。
抗おうと口を開くが、探すまでもなくはっきりと自己主張したその熱をいとも容易く握りこまれ、漏れ出したのは喘ぎ声だけ。
一度直接的な快楽を与えられると、体を引くことも叶わず、すぐにジッパーをおろされ、露出させられてしまった。
暖かく、柔らかな粘膜・・・口の中へと導かれて大袈裟に腰を震わせる。
花の効果もあってか、普段よりもずっと気持ちがいい。
舌が押し当てられる箇所が脈打つ、吸い付かれた箇所が痺れる。
脳内はすぐに真っ白となり、あられもない声を上げながら止め処なく涙が頬を伝った。
「んん・・・!あっ・・・うー・・・っ」
柔らかな粘膜が外され、細い指が容赦なく熱を攻め立てる。
上下に擦り上げられ、先端を親指で押しつぶし、溢れた透明な粘液を塗り広げるように手は滑る。
それを扱く水音だけがやけに大きくて、頬が赤く染まった。
濡れた手の平に包まれ、指先は放出を誘うように先端の窪みを探られて。
程なくして体は昇り詰めて、思考が一瞬途絶えた。
「あああ!シギ、シギ・・・―――ぃ!!」
彼の手の平に吐き出された精。
その羞恥もさることながら、早急で激しすぎる解放に意識はゆっくりと歪んでいく。
「シギ・・・」
「かずたか・・・」
二度目のキス。
先ほどよりも落ち着いた、いくらか情感の篭った唇の温もり。
激しい快楽の余韻と、ほんの僅かに残った背徳感に包まれ、二人は目を閉じた。
その花に名前があるのかは・・・定かではない。
【内容なんて無いよ。シギ君ごめんね、ごちそうさま】
お初はPL名@PC名でお入り下さい。
稼動スレ状況
カズ:11 休止2
カズ&ハロ:1
ハロ:8 休止1
宗:2
京:3 休止1
うちの子も人様の子も大好き。
いつも変な妄想してます。実にすみません。
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