以前このブログに上げました【 Cardinal Crescent 】をご存知の人は居るでしょうか。
あおちょ大先生が書いてくれたセルカズなんですが。
あれですね、内輪でCCと呼んでおりました…ら、ふと気付いたらあちらのブログにEEが上がってるじゃねぇか!?
と、超嬉しい&たまげたので、以前狙撃でだけ送ったDDを加筆修正しました。
っていってもちょっぱやでやったので…ま、まだ直したいんだけど…。
とりあえず上げます。
BL裏注意!
煤けた石壁と、極彩色を放つネオンの明かり。
ぽっかりと浮かんだ月は血のように紅く、遠い喧騒は賑やかとは言い難い排他的なもの。
まざまざと分かりやすくこの世の暗闇を表しているかのような繁華街の片隅、人の立ち寄らぬ暗い路地裏にて、その状況は映し出されていた。
暗がりに落ちる影は二人分。
銀色の長い髪を結わいた狼の青年と、赤茶髪を…今は汗に乱した少年がそこに在る。
冷えた石壁に押し付けられるように縋った少年と、覆いかぶさる狼は…一処の繋がりを持って。
煌びやかなネオンから遠く離れた場には、忙しなく繰り返される荒い呼吸の音だけが満ち、ぱたぱた―――と垂れ落ちる雫は白く。
特有の篭った匂いが指し示すものは、この二人の間につい先程まで背徳の睦があったということだ。
―――ぐち
鈍くもはっきりとした水音が響く。
繋がれた箇所からその楔が引き抜かれ、彼自身の白ときつく締め付けた内壁が絡み合った音。
震える腰に手を置かれ、至極ゆっくり引き抜かれる感触に、解放にたゆとうていた意識は引き戻されて、苦悶の表情が浮かんだ。
散々甘やかすように解されて、甘美に蕩けきった其処が傷を作る事はないけれど。
内臓を迫り上げるような圧迫感だけはいつまで経っても慣れるものではない。
ゆる、ゆる、と離れていく熱に、知らず微かな吐息は漏れて。
楔を失った身体。
膝の力は完全に抜け、手を着いた石壁を滑り落ちるようにがくり…と落ちて…
石畳の地面、石造りの壁に挟まれた路地裏。
弛緩した身体が落ちる先は冷たい石床であり、常ならば遠慮したい処だと思えども、重力から抗うほどの体力が残っていなくて。
…しかし、地面に伏せられてしまうはずだった少年の身体は、狼が伸ばした両腕に絡められて抱き留められた。
反対側の石壁に、即ち狼が石壁を背にしてふわりと座り込んだ、その膝の上にまるで子を慈しむかのように横抱きに抱えられ、無意識に閉じていた瞼を開く。
かちあうのは少々熱の篭った紫暗色の瞳。
普段の涼やかさは今は成りを潜め、微かに興奮を燈した人間味のある色合い。
確認する術などありはしないが、きっと己の藤紫色の瞳も熱に浮されて潤んでいるのだろう。
視界はぼやけて、だけども其れを一杯に満たす銀糸を纏う彼は、憎らしいほどに…綺麗で。
睫毛に乗った涙が緩やかな風に弄ばれるのが少々寒い。
「爪を立てるなと言ったのに、仕方の無い奴だ」
狼の彼がそう嘆息混じりに零したのは少年の…己の指先を見咎めたからだ。
確かに爪を立てるな、傷が付くと注意されたことは記憶に在る。
だが、意識もなにも絶え絶えの状況でそれを気付く余裕などなく。
恐らくは余りに甘すぎる行為に、意識外のところで力を篭めてしまったのだろう。
石壁に突きたてられた指先が、無論硬い石に勝る事は無く、いくつかの爪が割れ、指先は擦れて赤らみ、僅かに血を滲ませた箇所すら在る。
力の入らない腕を持ち上げて、自分の眼前に指先を引き寄せれば、少しだけ鼻につく錆くさい血の香り。
言われるまで気づかない程度の傷に違いないが、成る程一度気付いてしまうとピリリと細い痛みが走った。
誰のせいだ、そう毒づいてやりたかった。
そもそも抵抗出来ぬように力づくで壁に押し付けたのは何処のどいつだ、と。
けれど、指先を手に取るその行為が、自身の唇に寄せて血を拭い去っていく仕種が、恰も己を恭しく大事にしているかのようで浮かぶ恨み言は霧散していくのだ。
傷んだ指先に温かい吐息がかかる。
冷えた真冬の月のように、冴え冴えとした銀髪は肩から流れてさらりと糸を垂らし。
色を燈した紫暗色の瞳は深く、穏やかで吸い込まれてしまいそうなほどに。
普段はきっちりと手袋に包まれた手も、今宵はいつの間に外したのか、皇かな肌を晒してそこに在り。
―――どうして、どうして優しくするのだろう。
浮かぶ疑問は唯それだけ。
熱と甘みに支配された、霞がかったような脳味噌では理論立てた思考など出来やしないが。
友人の筈だった。
他者に語れぬ話を共有したことも確かだが、当て嵌める関係といえばそれでしかなく。
ほんの数日前にだって、連れ立って市場を歩いて様々な話をした。
学校での事、新しいスイーツの事、季節の事、――互いの想い人のこと。
謀ったわけでは決して無いが、自分は彼に隠し事なんてほとんど無くて。
故に、何でも話してしまう、話せてしまう。
まるで兄であるかのように慕っていた。
それなのに…このように組み伏せて無理矢理に暴くなど、許された行為ではない。
…彼を恨んでいいはずだ。
友として、兄として信頼していた自分を裏切った、と。
己の想いを知っていて塗り潰した、と。
なのに握られた手を振りほどけないのは、今も背中を抱き寄せて宥めるように撫でて来る彼の掌が優しいから。
見上げた瞳が真っ向から見つめ返して来るのが…嬉しいから。
こんな感情を抱いてはいけない。
互いに想い人を持つ身…求められるのが嬉しいなどと。
分かっていて振りほどけないというのは、実に人間らしい弱さのせいであろうか。
暖かい腕の内に、囚われたかのように身体が動かない。
「おい、寝るなよ。部屋までは送ってやろう…だからベッドまで待て」
言いながら涙の跡を拭ってくれる唇の、何と暖かく柔らかいことか。
…ん、
返事のようなただの反射のような短い声を発しながら、脱力しきった頭を寄せたのは彼の胸元。
未だ大した乱れも無い…小憎らしいシャツの上。
お決まりの燕尾服はいつも通りに綺麗で、しかし己が握り締めた箇所だけ変に皺になって。
そんな変化にすら…情を持ってしまう自分は呆れるほど女々しいな、と思わず苦笑が漏れ出した。
「…部屋まで送って捨てていく、んですか?薄情な人…ああ、狼か」
「馬鹿なことを。まるで置いて行かないでとごねているようだぞ。…上手に強請れたら考えてやってもいいがな」
「ばーか、オレがそんな事言う訳無い…キミこそ離れがたいの間違いでしょ?」
いつも通りと変わらないやり取り。
戯れと皮肉、悪戯心に満ちた其れは、常であれば易々と口にして、易々と忘れていける程度のもので。
今宵は…肯定されてはいけないのだと、見上げる表情は不安が滲んでいるか。
肯定は此度の出来事を受け入れてしまう事を示すから…なのに、見上げた彼がひどく優しく笑うから…もう、縋るようにしがみつくことしか出来なくて。
――どうして酷くしてくれなかったんだ。
泣き喚くほど残酷に玩具のように抱いてくれたなら、恨むことが、憎むことが出来たのに。
抵抗できなかったんだと自分自身に言い訳することが出来たのに。
――キミが淋しそうに笑うから。
そうだ、キミのせいだ。
縋りついてきつく抱き着いていなければ、其れこそ不安定な秋風の様にどこかに行ってしまいそうな気がして。
きつく、きつく縋りつく。
ともすれば赤子が親に乞うように。
体温を持つ胸板に額を埋めて、頬を当てて。
握られた指先で、握り返して。
折り重なるように密着した二人の影が、路地裏に現されてから幾程の時が経っただろうか。
時折肌をすり抜ける風に段々と上がりきった熱も冷まされて、ぼんやりと薄暈けた視界にもはっきりとした極彩色が戻ってくる。
体温を奪われて身じろぐように肩を震わせれば、見計らったかと思わせるほどのタイミングで衣服を正してくれるのは、当然狼の彼の手で。
彼の手によって外されたボタンが、彼の手によって留められていく。
様々な物でぐしゃぐしゃに濡れた下肢を拭う術は流石になくて、呆けている耳元に囁かれた言葉は。
「ベッドの前に風呂だな。此方も、上手に強請れるなら共をしてやろう。」
くすくす、と。
一人だけ余裕を取り戻して艶美に笑う姿が憎らしくて、無論言葉に応える事も出来なくて、否定を表す為に埋めた顔を離して、両腕を胸元へ突っ張った。
背中が支えられているのだから、さほど距離を開けるわけではないので、余計に面白そうに笑われるだけなのだが。
羞恥心を取り戻してほんのりと色づく頬を見られるのも癪で、俯いたなら視界の内に入るのは、件の下肢の状況であって。
濡れて今は力を失った箇所を撫でる程度に拭われて、力のままに滑り落とされた衣服を上げられる様の…情けなさに息が詰まった。
…でも、そう、正してくれるのだ。
衣服を正し、脱力しきった己を立ち上がらせて、手を引いて…歩いてくれるのだ。
赤い月が全てを飲み込まんと照る石畳を連れ立つ二人の影は、長く。
不思議なくらい擦れ違う人もいなくて――深夜だからか、それとも単に眼に入っていないだけなのか。
足取りはゆっくりとしたものではあるが、真っ直ぐに惑うことなく。
己が、友が、同級生が住まう、学園の寮へと。
アンナコトが、あったばかりだというのに帰る場所と言ったら其処しかなくて。
本当であれば、日の昇る最中、明るい石畳を越えて、輝く校舎を見上げて。
そんな背景が似合うはずの、あの場所に。
二人共だって…還って行く。
夜空に浮かぶ仄赤い月が降り注ぐ光りに、照らされて背徳の彼方に落ち行く二人。
いずれ途方も無い後悔をしようとも…この瞬間を否定することなど、互いに出来やしないのだ……―――
しかも「CC」「DD」の流れを折り込んでいたので、まさかの加筆を頂き私が驚きました、たいへん美味しかったです><
通勤時間×所沢勤務日数で偉い長いFFが出来あがってしまったらごめんなさいねうふふ!
もえをありがとうございました、これで今週生きていけます(*´∀`)
あやうく気付かずについうっかり読み流すところでしたよ…
しかし此れはあれですね、流れなんで…遠慮なく貰って行きますね^^←←←
実は加筆は前からちょくちょく進めていたのですが、何度書いても納得いく出来に仕上がらず…寧ろ上げる切っ掛け貰いました、あざっすwwwww
お初はPL名@PC名でお入り下さい。
稼動スレ状況
カズ:11 休止2
カズ&ハロ:1
ハロ:8 休止1
宗:2
京:3 休止1
うちの子も人様の子も大好き。
いつも変な妄想してます。実にすみません。
windows messenger
nongrata☆hotmail.co.jp
PL交流後なら登録はご自由に。でも名乗ってくれないと拒否っちゃうのでお気をつけを。