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スタ学在学中のカズ・ハロ・宗・京PLによる妄想ブログ。 スタ学関係者様のみコメント、リンク歓迎。
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バンドパラレルネタです。内容などありません。











長い、レコーディングを終えた夜だった。

そもそもレコーディングだけなのだから、長くなるのはヴォーカルのジョシュだけの筈だったのだが。
歌の雰囲気ですぐに曲調変えるからスタンバイしておけ、と傲慢なミキサーは帰らせようとしないし。
かと思えばミキサーもヴォーカルも納得いかない、とか言って何度も歌い直しをする上、気分展開だとかで休憩を入れ。
退屈だから、と覗いたスタジオでは唯我独尊なピアニストにとっ捕まって缶詰にされた。
もう深夜とも言える時間だし、腹は減るし、結局レコーディングは見直し後、後日という事にもなって。
一言で言って「面倒」な夜だったのだ。
その上。


「申し訳ありません・・・今は、満席で・・・」


と、行きつけの飯屋にも拒否される始末。
悪目立ちする己が外から見えないように配慮してくれたり、深夜帯まで営業していたりとなかなかに便利な店だったのだが。
そこでごねても仕方がない。
溜息を一つついて、当の男、ハロルドは硬いブーツを引き摺りながら、こうして帰路についているのだ。
時間のせいで大した音もなく、暗闇に沈む世界はなぜだか余計に空腹を感じる。
早く食物をよこせと要求する胃を外側から撫でて、ガチャリ、と自宅の扉を開いた。


部屋の明かりをつけ、ベッドに放られた煙草を手に取る。
床に落ちたライターを拾うのと同時に口には煙草が一本。
金属の蓋が開く音と、短いガスの音がして赤い炎が目の前に揺れた。
口内に広がる苦味、今は空いた腹に余計に染みる。
再びその二つをベッドに投げて、のろのろと上着を脱ぎながら冷蔵庫を開けに小さなキッチンへと向かった。


「あー・・・やべぇ、なんもねぇよ」

脱いだ上着はカウンターの椅子へ引っ掛け、煙を吐き出しながら覗き込む冷蔵庫。
勿論食材は色々と入っているが、彼が言うのは「すぐに食べられるものが」ない、ということ。
疲れているのになぁ、と眉を寄せながら野菜室を開けると何故だか大量にしまわれている茄子に気が付いた。
一瞬己の時が止まるが、まぁいいか、どうせだから使おう、と其れを取り出し。
他にジャガイモと玉葱、トマトを取り出してそこを閉めた。

其れをカウンターに並べてどうしようかと顎に手をやるが、すぐに何か思いついたようで冷凍室を開ける。
取り出したのは白いソースのようなものを凍らせたもの。


「おー、残ってた」


いつ作ったんだかは残念な事に忘れたが、冷凍していたのだから平気だろう、とその牛乳などを含んだ柔らかなソースをオーブンレンジに突っ込んだ。
短くなった煙草をカウンターの灰皿に押し付けると、続いて鍋に湯を沸かしながら腕をまくり、手を洗って包丁とまな板を取り出す。
久しぶりに出した、なんて考えながらさくさくとジャガイモを薄く切って鍋に放った。
茹で加減は・・・適当だ。火が通っていればいい。
玉葱はみじん切りにして避け、トマトもざっくりと切って避ける。
茄子は縦に8分割・・・程度でいいか。

熱したフライパンにオリーブオイルを注いで茄子を揚げ焼きに。
じゅわーっといい音が響いて食欲がそそられる。
茄子が油を吸ってしんなりしてきたところで取り出しておいた。
同じフライパンに今度はラムひき肉を・・・と思ってチルド室を開けた、が無かった。
まぁ鶏でもいいや、と鶏ひき肉を取り出して計るのも面倒なので一パックそのままフライパンに投入する。
肉の焼ける独特の音が響いて、油がはねる。
たいそう面倒だが後の掃除のほうが面倒なので其れをいちいち布巾で拭った。
油はねが落ち着いたらみじん切りにした玉葱、トマトを加えてさらに炒め、水と固形ブイヨンを入れてしばらく煮詰める。


その間に酒でも用意しとくかなー、とグラスを用意したところで部屋のインターホンが鳴った。
こんな時間に誰だ、と不審がるが、だからといって強盗だなんだと怖くも無い。
ぴんぽーん、ぴんぽーん、と一定の間隔で鳴る音のほうが不快で、グラスをカウンターに置き、玄関へと向かった。

ガチャ、とドアを開けて外を見るとそこに立っていたのは己に負けないほど嫌そうな顔をした件のヴォーカルと、酷く楽しげなミキサー。
ミキサーの方は酔っ払っているようにも見える。
こいつら息抜きとか言って酒飲んできたのか、と多少苛立ったのは顔に出ていたかもしれない。


「・・・・・・なんの用だ」
「ハロー!!パン焼いてきた!食おー」
「・・・・・・・・・・・本当はみんなで食うために焼いてきたらしい、が解散になって・・・悔しかったからとりあえず誰かに食わせたい、らしい」
「だからって何で俺の家に・・・」
「近かったからだ」


額を押さえる。なんだろう、この二人の疲れるテンションの差は。
ミキサーの愛はノリノリのようだが、ヴォーカルのジョシュは・・・まぁ、無理やり引き摺って来られたのだろう。
しかめっ面が微妙にすら崩れない。
面倒を増やすなといわんばかりの己の視線に、貴様もこの面倒さを味わってみろといわんばかりの視線が重なって軽く火花でも散りそうだ。


「なー、ハロー。これ何作ってんの?水分無くなってるよー」
「あんだと、火ぃ止めとけ。ちっ、しゃーねーな。上がれ」


いつの間にか部屋の中に入り、堂々とキッチンを覗き込んでいる愛には呆れるしかない。
とはいえ、思いつきで始めた料理ももう佳境だ、そちらには手を加えなくてはいけないし、いつまでも押し問答している場合ではない。

キッチンへ再び戻ると其れはもう楽しげな表情で愛がフライパンを覗き込んでいる。
今にもそこらへんにある調味料を無駄に入れそうなのでそこから追っ払うように手を振って、逆にジョシュを呼びつけた。


「お前パン切っとけ。んで切ったらトースターで5・・・8分?」
「おい、数値が半端すぎる。なんだその開きは、どっちだよ」
「知らん。焦げ目が付いたら出せ」


そんな風にやり取りしながらそのオーブンから解凍していたソースを取り出す。
いい具合だ。キッチンにクリーミーな匂いが漂った。
耐熱用の皿を・・・3個用意して、茄子を敷き、上にひき肉・・・ジャガイモ、ソースと順々に重ねながらふとジョシュの方を見れば。
パン切り包丁片手になにやら真剣な眼差しで。


「・・・・・ジョシュ、お前包丁大丈夫だろうな」
「・・・・・なんだと、馬鹿にするな」


とか言いながらプルプル手を震わせてパンと見詰め合っているので、それ以上触れない事にする。
さすがにパン切るだけで手ぇ切ったりしないだろ、と。
再び冷凍室から細かいチーズと取り出していると再びインターホンの音が。
ここまでくると嫌な予感しかしない。
しかも家主の断りも無く玄関に出て行く愛が少し憎らしい。

インターホンから数分、部屋の方がすぐに騒がしくなって、鬱陶しげに目線を上げるとやはりというかなんと言うか、人口が二人、増えていた。


「・・・・・なんの用だ、シギ、ブルー」
「あのね!トキもポルカもアニーいないし、ボクおなかすいちゃった!」
「俺は・・・別に。たまたまシギに見つかって」
「超いいタイミングじゃん!今ハロがなんか作ってっから俺のパンと一緒に食べようぜー」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」


何故家主を置いて勝手に話が進んでいくんだろう。
しかし、彼らが相手ではそんな文句も通用しないか。
まったく、唯一の常識人は一体どこへ行ったのだ、と違う方向へ怒りを飛ばしながら隣のジョシュに「二人文追加」と言っておいた。

仕方が無いので皿をもう二枚用意して、先と同じように材料を重ねる。
一番上にチーズを細かく砕いて乗せ、其れが溶けるまでオーブンに入れると、先ほど油を拭いていた布巾を念入りに濯いだ。
ぎゅっと固く絞って広げ、部屋で騒がしくする中で・・・まぁ一番まともなブルーに投げ渡す。


「カウンターふいとけ」


一瞬なんで俺が、とでも言いそうに口を開いたが、他のメンバーを見回して諦めたようだ。
しぶしぶといった風に口を尖らせながらカウンターに布巾を滑らせる。

人数分のフォーク・・・は無いので、フォークと箸を出してカウンターに適当に並べて使い終わったフライパンを水に浸す。
そうこうしているうちにオーブンの中でチーズもいい具合に狐色だ。
別の布巾で熱くなった皿を取り出し、耐熱だからいいや、とそのままカウンターに並べる。
そのうちジョシュがパンも焼けた、というので適当に皿出して乗せとけ、と指示した。

・・・・・まぁ、突発で作ったわりには美味そうな食卓になったと思う。


「うわ、すっげー、うまそうじゃん!ハロ料理できたんだな」
「・・・ああ、意外、だな」
「やったー、ごはん!ごはん!」
「と、言うか何故俺がお前のパシリみたいに使われなきゃならないんだ」

だのと騒ぐ奴らを覗いて。

 

 

 


その夜の食卓はこんがり焼けたグラタン、手作りのパン。安っぽいお酒と。
・・・・・騒がしいメンバー。

 

 

 

ちなみにそのころNoir唯一の常識人は赤の兄弟と優雅にワインを嗜んでおりました。







【なんてお料理番組?勝手にジョー君不器用にして御免ね。本当はメスとか扱うのにね・・・】
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大丈夫!
メスは投げるためのものだから!((((

ジョー君の料理スキルなんて想像したことなかった。
想像してみた。





たまねぎを薄切りにしてくれって言ったら7mm厚だった。結構不器用らしい(笑
いいなぁこの無理やりパーティ。混ざりたいw
クロトキ 2010/04/27(Tue)20:23 編集
>トキ氏
薄切れてねぇwww
もう私的には、包丁もって悩んでるジョー君を想像しただけで滾っていました!

いろんなものや言葉が飛び交いそうなパーティだけどね!!
後でハロが隣人に怒られるんだwww
紅@カズ・ハロルド・宗・京 2010/04/28(Wed)13:44
続編(裏行き)はまだですか
ハロさんの手料理たべたいいいいいい( ;゚皿゚)ノシΣバンバン!!

こんなに大勢で酒のんでわいわいしたらその後に期待しちゃいますよね'`ァ,、ァ(*´Д`*)'`ァ,、ァ

ちなみにうちのコたちは
愛:絡み上戸+笑い上戸
ブルー:即寝落ち
ですので!

かわいいハロさん期待してますね!(((
たつみ 2010/04/28(Wed)00:26 編集
>たつみ氏
ちょ、待ってwww
裏行きってどういうことwめくるめく宴が始まっちゃうの!?www
しかし5人だよ!一人余るじゃ・・・あ。
さん・・・(言わせねーよ!!)

ブルー君寝落ちなんかしたら美味しくいただかれちゃうんだからああ
ハロに、ねwww
紅@カズ・ハロルド・宗・京 2010/04/28(Wed)13:46
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