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スタ学在学中のカズ・ハロ・宗・京PLによる妄想ブログ。 スタ学関係者様のみコメント、リンク歓迎。
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照りつける太陽は真夏と言うほど激しくもないが、素肌に沁みこむ様に不快な直射日光で。
それを照り返した白い砂浜はじりじりと焼け焦がそうとするフライパンの如く。
唯一爽やかとも言える寄せては帰る波音は、今や騒ぎまわる客たちの甲高い声で掻き消えた。

太陽、砂浜、波。
いわゆる海、海水浴。
自然が多く、気候のいいここ、テラでは5月も下旬になれば海水浴が出来るようになる。
6月も半ばまで入ろうというこの時期となれば、砂浜は海水浴客で溢れかえり、活気に満ちることは誰もが分かること。
しかし、今こうして波打ち際に突っ立っている黒髪の男、ジョシュは海水浴、なんてものとは縁遠そうな至極不快な表情で前方を睨みつけていた。


「ジョーくーん!泳がないのー!?」


前方に居るのは同じく黒髪を高く結い上げた愛、という男。
寮の部屋が隣で、いつの間にか付き纏われ・・・もとい仲良くなった奔放な奴だ。
現在もちっともこちらの状況を解さない様子で、ぶんぶん陽気に手を振っている。
それが彼、と言えばこの二人の関係性がどういったものかは大抵の人間が分かってくれると思う。
突き放せない自分も同罪と言えば同罪なのだが・・・などと嘆息し。


「・・・飲み物買って来る」


そう一言だけ告げてその場を離れた。
正直、燦燦と降り注ぐ太陽光の下にいるのは辛かったし、足に濡れた砂が纏わり付く感触もなんだか不快で。
一刻も早くこの有様から逃げよう、ざくざくと砂浜を踏みしだきながら今朝の会話を思い出していた。
思えば今日と言う日が始まったときから、己の自由はなかったのかもしれない。


朝、朝日よりも目覚ましよりも先に、けたたましい呼び声で目が覚めた。
否、覚まされた。
寝るときに鍵を掛け忘れたのか、どうにかして開けたのか(前者だと願いたい)目の前には既に弾けんばかりの笑顔を湛えた愛がいて。
制服の時よりも格段にラフな格好と、肩に下げた大荷物。
嫌な予感しかしなかったので反対を向いて二度寝を決め込もうと目を閉じたのだが。
『海行くぞー!!』
と耳元で怒鳴られてぷつり、とどこかの血管が切れた。
誘うにしても急すぎるし、それほど海に魅力も感じないので煩いと怒鳴って追い出そうと体を起こしたが、そこを抱えられ。
何故か迷うことなくてきぱきと人の学校指定水着だのタオルだのを取り出して鞄に詰め込み、あまつさえそのまま外に連れ出そうとするので。
『せめて着替えさせろ』
と断念して引きずってこられた。

寮の外に出てみると見たことのある奴からない奴まで、学園の生徒が何人か集まってて、結構な大所帯であったことを始めて知った。
しかもまた、この強引な男が主催のように皆を仕切り、それでいてずっと逃げようとするこの腕を引っつかんでいるので、帰るタイミングなどあるはずもなく。
何がなんだか分からないうちに砂浜に突っ立っていた、とそこまでが状況である。

海に着いた途端、皆それぞれ泳いだり、海の店を冷やかしたり、ビーチボールを始めたりとそれなりに楽しみ始めたようだったが。
寝起きのまま引っ張り出されたジョシュははっきり言って皆のテンションについていけない。
それこそいつでもテンション最高潮の隣人に合わせることなど不可能で。
眠気、苛立ち、疲れ、様々なものが体を支配してなんだかだるくなってきた。


ひとまず日陰に居たい、と本能の赴くまま海の家のほうへと足を進め、でかでかと売り物の書き出された看板を仰ぎ見る。
当たり前かもしれないが市場と似たような品揃えなのに、それよりも少し割高。
そんなところまで馬鹿馬鹿しいと思ってしまうのは、つまらない性格なのだろうか。
いや、そう感じてしまうものは仕方がないと思う。
とはいえ、何も買わないで海の家に転がり込むのは気が引けるし、まぁ喉も渇いた。
飲み物の一本くらいは必要経費だ、などと言い訳して(後で愛に払わせようなんて思っていない)ポケットの財布を探った。

 


「あのー、お一人ですか?」

 

ふと、女独特の少々鼻に掛かったような高い声がかかる。
一瞬誰に言っているのか分からなかったが、近くに居るのはジョシュと海の家の店主だけ。
まさか店主に一人か、などとは聞かないだろう。
そうすると必然的に声をかけられたのは自分ということになるので、仕方なしに振り返る。
振り返った先に居たのは一人ではなかった。
茶色い髪を丁寧に巻いた背の高い女と、金に近い髪を・・・ああ、もうどうでもいいか。
つまるところ若い女が二人、何が楽しいか分からないがにっこり、と擬音がつきそうな笑顔で小首を傾げているのだ。


「一人でこんなとこ居るわけないだろ」

「そうですよね!さっき海に居たポニーテールの男の子と一緒なんだよね?うちらも二人なんだけど」

「うん、一緒に遊びませんかー?」


ひく、と眉間に深く深く皺が刻まれる。
そもそもこの状況自体あまり好ましくないのに、相手の二人の面倒な口調も気に食わない。
そうですよね、って分かっているなら聞くな、とか。
無駄に語尾伸ばすな気持ち悪い、とか。
とりあえず気分はより一層急降下して、何もかもが海へ連れ出したあいつのせいだと今すぐ大声で罵りたくなった。
依然照りつける太陽と、この面倒なやり取りに対する苛立ちからか、段々と頭がくらくらしてくる。
ほんの少しでも頭痛を抑えるように、相手に面倒だと思ってることを伝えるようにあからさまに米神を指で押しながら。


「悪いが二人じゃない、他をあたってくれ」

「えー」

「でも、君ら二人仲いいんでしょ?抜け出してきちゃいなよ」


埒が明かない。なぜ空気を読まないんだ。
酷く、それはもう酷く気分を害してその場を立ち去ろうと溜息を一つつき、彼女らに背を向ける。
これだったら泳がなくとも愛のそばで海に浸かっていたほうがいくらかましだ。
ざくざく、と大股に絡みつく砂を振り払いながら元来た道を戻ろうとするが。

「ねー、いいでしょ?」

女の片割れがしつこく腕を取ってくる。
サービスか何かのつもりなのか艶やかな笑みを浮かべながら体を押し付けて。

鬱陶しい。

浮かぶ感情は一つだけ。
どろりと脳が暗く澱む。
なぜ自分がこんな思いをしなくてはならないのかと、目の前がぼんやりと霞むようだ。
頭が割れるように痛くて、眉間に皺を寄せた表情から、辛辣に顰めた表情へと移り変わる。

無理やり腕を振り払おうと、振り返り様腕をふるうが。

 


くらり。

 

 

視界が、暗転した。
突き抜けるような頭への鈍痛に、真っ直ぐ立てない。
全身の力が抜けていく。
背中に、濡れた肌が触れた気がした。

 

 

 

 

 

 


額に、何か触れている。
冷たい・・・タオル?
背中に触れているのは井草の感触か。
一定感覚で送られてくる風が気持ちいい。
瞼の奥でぼんやりと覚醒した意識がそれらを認識して。

はっ、と驚いて目を開いた。
いったい何が起きたんだ、と。
辺りを確認しようと視界を見渡せば、すぐに映りこむのは長い黒髪。


「おー、ジョー君、目覚めた?」

「愛・・・?」


ほんの一瞬前まで大声で罵倒してやりたいと思っていたその姿に他ならない。
しかしその表情がなんとも心配そうな笑顔で、しかもどこかほっとするような印象で、何も言えなくなってしまう。
気付けば一定に送られていた風は彼が団扇で扇いでくれていたものらしい。

「日射病だってよ、気付かなくてごめんな」

そう言ってどこか申し訳なさそうに笑う。

日射病。
そうか、だから体がだるくて頭が痛かったのか、ど合点がいった。
おそらく寝起きに朝食も水分もとらず、浜辺に突っ立ったのが悪かったのだろう。
しかもあの女たちと話してイライラを募らせたのがとどめか。
思えば意識を手放す寸前に、愛の声を聞いた気がする。

そうか、彼が助けてくれたのか。

いつもいつも面倒ばかり連れてくるのに、こんな時ばかり誰よりも素早くて、誰よりも優しいなんてずるい。
未だ少し熱い息を吐きながら、そんなことを思った。


「愛」

「ん?」

「・・・ありがとうな」

「・・・おー」


額に置かれた湿ったタオルを目元までずり下げて、再び目を閉じる。
視界には映していないが、嬉しそうに満面の笑みを浮かべる、愛が気配で分かった。



と、いうことで。
1000ヒットをお踏みあそばしたトキさんに捧げます。
愛ジョのわりに絡み少なくて申し訳ない・・・!!!!!!

私的にこの二人はべたべたじゃないんだけど、どこかで繋がってる。
言わなくても分かる、だからわざわざ言わなくてもいい。
そんな感じの関係かな、と思ってます。
これでカップルではないなんて・・・なぜですか(((

至らない上にぐだぐだな文章ですが、トキ様!!お持ち帰りください!!
返品したら駄目です、クーリングオフは利きませんwww

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うわああああああああああああ
はげ萌えた!!なにこのジョー君!!(じだじだ
もう!もう!キャラ把握しすぎ!かわいい!二人ともかわいい!!!あぁん!!!(びたごろ
返品なんかするもんか!何度でも読み返してやるんだからああああああああああああ!!!(ダッ←持ち逃げ
クロトキ 2010/06/09(Wed)17:15 編集
>トキ氏
いやああああ、何度も読み返したらそのうちぼろが見つかるに決まってるじゃないかああ!
しかし愛ジョの熟年夫婦感は好きだ!!(何
本当はもっとべったり絡ませたかったけど、ジョー君のデレが私には向いてくれなかた・・・よ・・・がくり。
紅@カズ・ハロルド・宗・京 2010/06/09(Wed)17:18
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姫純一貴・ハロルド=ガリアンローズ・Shu=Einhard・椿木京一郎PLです。
うちの子も人様の子も大好き。
いつも変な妄想してます。実にすみません。

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